October 21, 2004

自転車


 落ち葉の洪水の中を
 泳ぐ 泳ぐように歩く
 ふと振り返ると
 足跡を消された僕が
 引き返す事が出来ずに困っている

 狼の雫を飲み干す
 そして 満月の夜を待つ訳だ
 それがカルキ入りの水道水だと気付かず
 一気に飲み干す訳だ

 コナゴナの水が 僕の細胞を叩く
 それで綺麗になった気になる
 その手の満足をかき集め
 身の潔白を証明しようとする

 真っ黒い汚れは
 逆に清潔感を与える
 だから
 半端なものは四捨五入する


 回転する僕のペダル
 回転しない僕のタイヤ
 景色は一つも変わらない
 まるで チェーンの外れた自転車を
 一生懸命漕いでるみたいだ

 1が出ても6が出ても「振り出しに戻る」
 ゲームは延々 続いていく
 そんな時は さいころを二つ振ってみる
 時には狡さも必要

 朝おきて
 指の数を確認する
 なぜそうしたかったのか 分からないが
 指は確かに十本あった




19:21:25 | hastur | comments(0) | TrackBacks