February 07, 2005

第3回リアクション E1 S−2


 S−2 スープの考え

 台所に行くとジェイルとクラヤミがいた。僕はおはよう、とあいさつをして台所のテーブルに着いた。
 そこには昨日までは無かった鳥籠があった。中には綺麗な青い鳥がいた。
 どうしたの? この鳥。
 僕はジェイルに問いかけた。彼女は何かに驚いている様子だった。
 その時、鳥が鳴き声を聞かせてくれた。よくいる小型の鳥と、鳴き方は同じようだった。
 綺麗な青い鳥だね。
 僕がそう言うと、
 ああ、頼まれちゃってね。世話することになったんだ。
 とジェイルは答え返した。
 誰に頼まれたのかは言わなかったけど、多分<誰でもない>さんにだろう。
 ちょっと待ってな。すぐ朝飯用意するからさ。
 ジェイルは朝食の準備に取り掛かった。

 食卓にはスープと葉菜と果物のサラダ、黒パンが並んだ。
 そうして食卓を整えられた後も、僕は考え込んでいた。
 どうした?
 気づくとジェイルが僕の顔を覗き込んでいた。
 僕は驚いて後ろにのけぞった。
 な、なんでもないよ。
 と慌てていた。でもすぐに気を取り直してジェイルに問いかけた。
 ジェイルは早く、ここから出たい……よね?
 まぁね。出来りゃ、早く出たいね。
 僕はそのジェイルの回答を噛み締めていた。
 やっぱり外に出る方法を探すことが先決なのか。僕はどうするべきなのか。また長い間考え込んでいた。
 なぁ、熱すぎるスープは冷めるまで待てばいい、って言葉知ってる? 焦ったって、いい考えは出て来ないさ。
 ジェイルはそう言葉をかけてくれた。
 そうかもしれない。今はとりあえず動こう。考え込むのはその後でもいい。
 僕は小さくうなずいて、パンを食べ続けた。




Posted by hastur at 08:47 P | from category: リアクション | TrackBacks
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