October 30, 2004
第0回リアクション E2 S−2
S−2 月のいたずら
あたいは暁の少し前にようやく床に就いた。
そしてあたいは奇妙な夢を見ていた。
それは昔から何回も見ているし、毎回違っていた。内容は小さい頃に聞かされたおとぎ話だった。
男の子と女の子が出てきて、青い鳥を探しに森に入るという内容だった。ただ男の子と女の子の関係はいつも違っていた。あるときは兄妹で、あるときは姉弟。幼なじみの時もあれば、全く同じ顔の双子の時もあった。
結末も毎回違っていた。鳥を見つけるけどなぜか逃がしてしまったり、青い鳥の正体が巨大な鳥で男の子と女の子が食べられてしまったり、探し回ってふと後ろを見ると、逆に二人のほうが鳥に追いかけられていたり。
あたいは夢の中ではたいてい女の子の役だったり、客観だったりした。そしてその晩は、森で迷わないようにパンを落としながら青い鳥を探していると、いつの間にか男の子がいなくなり、パンをたどって戻ってみると青い鳥がパンをついばんでいた、というものだった。
はっきり言って訳が分からなかった。このおとぎ話の本当の結末も、いくら思い出そうとしても思い出せないままだった。
昔、このことが気になって友達たちに話したことがある。でも返ってくる結末は十人十色だった。
翌日、あたいは昼前に宿屋の人に起こされた。珍しいものが見られるから表に出てごらん、という具合に起こされて、言われるままに外に出た。
玄関の所においてある帽子と手袋をとって外に一歩出ると、妙な違和感を覚えた。昼なのに外が暗かった。クォリネの上空には雲が無い、というのが常識だった。不思議に思い太陽のあるべきところへ視線を移した。
驚いたことに太陽が欠けていた。あたいはピンと来た。
日食って奴だね。
後から外に出ていたルアのそばによった。あたいも天文学を専攻しているだけあって、この現象にも詳しかった。当然ルアも一目で分かったようだった。
生まれて初めて見るよ……。
そうしている間にも太陽は徐々に影に食べられていった。
そしてついにリング状の太陽が作られた。
その時、異変が起きた。
周りの森からは一斉に鳥が飛び立ち、微かな地響きが感じられた。そして狩人風の男が村に飛び込んできた。
逃げろ! 西の方からヌーの群れがこっちに向かってる!奴らは正気を失っているぞ!
それから男は逃げろを連呼していた。村は騒然となった。
なんてこと……ルア、逃げるよ!
ヌーって何なの!? 逃げるって?
あたいは明らかに焦っていた。
ヌーってのは巨大な牛みたいなもんさ。普段は大人しいけど狂うと手に負えない。奴らは何百頭という単位で群れているから、この村を通過するとなると一溜まりもないんだよ!
その説明の間、地響きはだんだん大きくなっていった。
(次回「ある選択に関する物語」へ続く……)
指針NO.
E01:白い館に逃げ込む。
E02:他の街や村へ逃げる。
(行き先と行った先での行動も明記)
E03:クォリネに留まる。
E04:その他のことをする。
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