August 28, 2007
第7回リアクション D1 S−1
異邦人 (Lo Straniero)
S−1 アリスのレストラン
月曜の夕刻。場所は寄宿舎一階の食堂。ルゥ・ルゥと契約精霊のティアは足取りも軽くこの場へやって来た。
先週、見事な登頂を成し遂げた彼女たちは、目標を見失いつつあった。そこで今日は、他の登山家たちを応援しようと考えてきたのだ。……応援の仕方はルゥらしいものではあるが。
しかし、生憎と今は登頂に挑んでいる者は見当たらない。
「せっかく応援してあげようと思ったのにね。」
獲物、いや、挑戦者がいない事に不満を漏らすティア。
「じゃあ、調理している人を応援しよう?」
ルゥはターゲット変更を提案した。そして、厨房へと足を向ける。
厨房では『陽』の契約精霊、アリシアが鍋を振っていた。
「あ、アリシアだ。いつもご苦労様っ。応援に来たよ〜。」
間髪入れず歌を歌う体勢に入るルゥとティア。
「せ〜の……。」
しかし、その歌声は響くことはなかった。
「スーパー・ウルトラ・グレイト・デリシャス・ワンダフル・ボンバーーーァァァッッッ!! テリオス(おまけ)」
歌い出す前にアリシアが必殺技を繰り出す。スローモーションのように宙を舞うルゥ。その様子を目で追うティア。ティアにはその背景に見開き2ページの銀河の絵が見えたような気がした。
「アリシアには一度見た技は通用しないのよ。」
アリシアはズシャァと崩れ落ちるルゥを見る事無く静かに背を向け、そんな言葉を漏らす。
「ルゥ、大丈夫?」
「きょ、曲は毎回変えてるのに……(ガクッ)」
ティアが、ルゥの胸に手を当て、鼓動を確認する。そして、首を横に振った。
結局それが、ルゥ・ルゥの最期の言葉となった……。
「って、勝手に殺さないでよ。」
生き返るルゥ。
「どうしていきなり殴りかかるのよぉ。」
「わたし、残酷ですわよ。」(バァァーン)
意味不明な台詞と決めポーズでかわすアリシア。
「と・に・か・く。あんたたちの歌は凶器と一緒なんだから、無闇矢鱈と歌わない事ね。」
そう凄まれて、ルゥとティアは厨房から追い出されてしまった。
01:12:16 |
hastur |
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