August 22, 2007

第6回リアクション E2 S−2


 S−2 燃え尽きた地図

 結果。
 ルゥとティアは300mmの冷麺を完登。
 クロノスは鍋アイス、イカスミ氷の八合目で遭難。
 ファブレオは鍋スパの五合目で遭難。
 レビィはそれに伴い、鍋スパの六合目で下山。
 それぞれ一息つき、場は「登頂」に関する雑談で盛り上がっていた。
「う〜〜、まだ気分悪い……。」
 ファブレオは未だ回復してないようだ。自分で『癒し』をかければいいのにと、その場にいる誰もが思ったが。
 そんなファブレオにアリシアが声をかける。
「まぁ、これにくじけずまた挑戦すれば? 『人生、崖あり谷あり』(*13)っていうじゃない。気持ちを360度切り替えて(*14)頑張りなさいな。」
 一つも慰めになっていない。
「そうだ。募集してた新メニュー、誰か考えてきてくれた?」
 アリシアが別の話を振る。
「それなら自分が。『こだわり卵のたっぷり菜ミモザサラダとんかつ』というのを考えてきましたが。」
 クロノスが発表する。長い名前の割りに、どんな料理なのか想像が付きにくいので補足説明を促される。
「これはボールにレタス、キャベツ、卵、タルタルソース、ゴマドレッシングを盛り、その上にとんかつとキャベツを乗せた物です。量、質共に『登頂』用メニューに相応しいと思いますが。」
「なかなか良さそうね。じゃ、基本レシピにないけどメニューに追加しとくわね。」
 アリシアにも好評のようだ。しかし、ルゥはその台詞に聞きなれない単語があるのを見逃さなかった。
「『基本レシピ』って?」
 その質問に、呆れるアリシア。
「そんな事も知らなかったの?」
「『基本レシピ』とは、『登頂』が始まった頃に編纂されたレシピ群のことじゃ。全部で20種ある。そこには基本的な材料と調理法などしか書かれておらんでな。調味料をアレンジして加えることによって別の料理が出来上がるようになっておるのじゃ。」(*15)
 代わって説明するテオフラスト。
「20種のレシピ……それって48の殺人技(*16)みたいなもの?」
 ティアがボケるが、さくっと流される。
「ついでに聞くが……『登頂』ってのはいつ頃からあるんだ? 歴史について教えて欲しいが。」
 便乗してレビィが尋ねる。
「儂ら、第一世代と呼ばれる者が学生の頃からかの……。じゃが、次第に過激化していって、その後は廃れる一方じゃった。最近はアリシアのお陰で盛り返してきとるがの。」
「そうそう。テオ、レシピが見つからないのがあるのよ。」
 さも困ったようにアリシア。
「四冊ほど、いっくら探しても見つからないの。7番目と14番目。あと、18番目と20番目が。」
「20番目もか!? それは困った事になったな……。」
 フィーダが声を荒げる。
「そんなに大事なものなの?」
 ルゥが興味津々といった感じで先を促す。
「20番目のレシピは『至高のレシピ』と言われておっての……。」
「何言ってんだ。『究極のレシピ』だろ?」
「『至高』じゃ!!」
「『究極』だ!!」(*17)
 またもいがみ合い始めるテオフラストとフィーダ。
 そんな喧騒をよそに、ルゥはそのレシピがどんなものなのか知りたい気持ちがわいてきていた。




(用語解説)
*13 落ちてばっかりかよ……。本当は「人生、山あり谷あり」。
*14 嘉門達夫「ガッツ石松伝説」より。実話らしい。
*15 ゲームソフト「幻想水滸伝?」および「?」より。
*16 ゆでたまご「キン肉マン」より。プリンス・カメハメがキン肉マンに授けた殺人技の一群。
*17 この辺も「美味しんぼ」より。「至高」だろうが「究極」だろうが、どっちでもいいじゃん…。





00:19:04 | hastur | comments(4) | TrackBacks