April 13, 2007

第4回リアクション E2 S−2


 S−2 事件

 グレイはアデイ・チューデントやインザーラ・ティスと行動を共にする事が多くなった。ホムンクルスである事がばれないよう、フォローする為だ。
 しかし、常に両方と一緒にいる訳ではない。ある時はアデイと、またある時はインザーラと一緒にいる、という感じだ。
「色々と教えてもらえて、有難いですよ。」
 アデイはそんな言葉をよく口にする。
 そんな時、事件はおきた。
 厨房でインザーラと作業をしていた時、インザーラが急に倒れこんだのだ。食堂の方から「ぼえ〜」という変な音が聞こえていたが、それは無視する。
 グレイは『癒し』をかけてみたが、回復する兆しは一向に見られない。
 仕方なく、インザーラを担ぎ上げ、テオフラストの部屋へと連れて行く。

 部屋に着くと、テオフラストがインザーラの診察を始める。
「これは……『寿命』のようじゃな。こんなに早く来るとは思わなんだが。」
 渋い顔をするテオフラスト。
「そんな、なんとかならないんですか?」
「そうじゃな……一先ず、島の研究所に連れて行くぞ。ここではどうしようもない。あと、延命には『マンドラゴラ』が必要じゃ。何とかしたかったら調達して来い。」
 テオフラストが檄を飛ばす。早速、出発の準備に取り掛かっている。
「あの、アデイさんは連れて行かなくてもいいんですか?」
 同じ時期に作られたホムンクルスならば、アデイも危ないのでは。グレイはそういう意味も込めてテオフラストに尋ねた。
「いい。構わん。」
 しかし、テオフラストは短くそう言うだけだった。






08:34:07 | hastur | comments(0) | TrackBacks