March 23, 2007

マールドルフの靴


 『ウサギ』の望みは大したことでは無かったが、大きいものだった。
 暗闇と沈黙と静止。
 三つを同時に欲していた。

 『未来のウサギ』は全く反対のものを求めていた。
 だが、それで全てが丸く収まった。

 目的も無いまま、マールドルフの靴を履き、町を彷徨う。
 それすらも病の終息に思えた。




08:24:07 | hastur | comments(0) | TrackBacks

March 12, 2007

セルジアの服


 なぜそこに『ニンジン』があったのかは、今になってもわからない。
 それによって人類は未曾有の危機に陥ってしまった。

 我々にとって幸運だったのは、たまたまそこに『ウサギ』がいたことだ。
 『ウサギ』は瞬く間に『ニンジン』を消し去った。まるで手品のように。

 『ウサギ』にとっては造作もないことであった。

 そして『ウサギ』はセルジアの服に腕を通し、夜へと溶け込んだ。




00:32:17 | hastur | comments(0) | TrackBacks