September 29, 2006

ブロンドの行方・2


「この女の子と……同じくらいの金髪に。」
 昨日送ってもらった画像を見せる。
 すると……。

 とても小さな独り言だったが、それは聞き取れた。
「これは…ユリ?」
 どうやら知ってる人物らしい。というか、姉妹か何かだと色々と辻褄があう。

 結局真実を聞き出すことは出来なかった。
 髪の色は、綺麗に変わったけど。


 家に着くと同時に携帯が鳴った。
 ヒロキだった。
「あ、ひょっとしてもう染めちゃった?」
 ……嫌な予感。
「さっき染め終わったところ。……何?」
「あちゃー。実は……染めなくて良かったかも。」
「何!?」
「昨日プリクラ送ったじゃん? で、今一度カエデから手渡された髪の毛と写真と、ちょっとよく見比べてみた訳よ。すると……。」
 イチイチ溜めやがるので、先を促す。
「何?」
「微妙に違うような気がしちゃって。」
「何、どういうこと?」
 さっきから「何」しか言ってないね、私。
「カエデの奴にいっぱい食わされてんじゃないかと思った訳。わざわざ髪の毛をどこかから用意して、俺にカマかけてんじゃないかと。たまたま昨日の子が金髪だっただけで。」
 そんな話ってあるかね?
「それで?」
「だから、おまえが金髪だと俺が慌てて嘘ついて工作したようになるじゃん? 今晩『昨日のは冗談で、こんなのまるで覚えがない』って言い直すから……。」
 ……めっちゃ嫌な予感。
「黒く染め直せ?」
「その通り。」


(続く)





08:24:00 | hastur | comments(0) | TrackBacks