September 16, 2006
ブロンドの行方・1
その電話は唐突だった。
「お前、明日金髪にして。」
依頼ではなく、命令だった。
話の筋はこうだ。
昨日、ヒロキはナンパで知り合った(本人は逆ナンと言っている)女の子を家に連れ込み……夜、同棲している彼女に部屋に落ちている金色の髪の毛を発見されたとか。
で、唐突に、
「あれ? 知らないの? 今ヒロユキ金髪にしてんだよ。
昼に遊びに来たから、その時落ちたんじゃない?」
とかとか、白々しく言ったらしい。
なんで浮気の片棒を担がなきゃならんのかな。
というか、冒頭のセリフ、人にモノを頼む態度じゃないよね?
「で、別にいいけど……どれくらいの明るさの金髪なのさ。」
色々と弱みを握られている立場上、断れないわけだったりするが。
「あ〜プリクラ撮ったから、その写真後でメールする。」
ご丁寧にプリクラまで撮ったりしてるよこの人。
その写真が見つかったらもうアウトじゃね?
翌日。律儀にヘアサロンへ向かう私。
ブリーチなんて普段しないので、普段行かない店へ。
そして、店内に入っての第一声。
「えっ!?」
現れた美容師さんは……昨日見た写真の子。
ただ、他人の空似かも知れない。
だって、髪が黒い。
そして、様子がおかしい。
さっきの「えっ!?」とシンクロするように、彼女の方も何か驚いているような雰囲気だ。
なぜ? 初対面のはずなんだけど……?
「今日は……どうしますか?」
席に案内し、そう尋ねられてしまった。
どうします?
とりあえず、携帯を取り出す。
「この女の子と……同じくらいの金髪に。」
昨日送ってもらった画像を見せる。
すると……。
(続く)
07:40:42 |
hastur |
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