October 11, 2006

ブロンドの行方・3


「黒く染め直せ?」
「その通り。」

 流石にここまで振り回されるのはどうかと思い始めた。
「その……見間違えとか勘違いとか、可能性あるんじゃない?」
 ちょっと歯向かってみた。
「うん? ……。」
 ヒロキは少し、言葉に詰まった。自分の理論の強引さに気付いてくれたのか。
 そして次に出たセリフは……。
「じゃぁこうしよう。この髪の毛を鑑定して、B型だったらあの子のものと認めるからお前は金髪のままで。それ以外だったら偽物。黒くしろ。」
「……はぁ?」
 提案を理解するまで数秒かかった。

「なんでB型だったら?」
「話をした時、献血の話題になって。で、献血手帳見せてもらったから覚えてるのさ。あんなものをイチイチ偽造する奴いないじゃん?」
「そうかもしれないけど……カエデが用意した髪がたまたまB型だったら?」
「いや、それは仕方ないし。」
 仕方ないですむのか。
「そもそも、色が一致してるのも出来すぎだし。」
 ……この人、自分の言い分に矛盾が生じつつあることに気付いてないのか?

「まぁそれはいいとして……どうやって鑑定なんかするの?」
「そりゃ、カトウに頼めば一発じゃん。」
 なんか……嫌な名前を聞いた。
「あ、なんかまずかった?」
「別に……いいけど。」

(続く)





08:22:52 | hastur | comments(0) | TrackBacks